おんころのたね・その6「〈ためる〉と〈流す〉─ 私たちが生きるために」

(2018/2/24の「おんころカフェ」より)

1.人間は蓄積する
私たちがこうやって毎月おんころカフェで会えるのも、交通機関で運ばれるおかげですよね。文明とはありがたいものです。先人たちから伝わった技術や事物が、どれほど私たちを支えてくれているか。ただし、人間としていちばん大切なのは、「言葉」ではないでしょうか。耳や目から学びなじんだ先人の言葉を通してこそ、私たちは知識を伝えられ、気持ちも表現できます。俳句で、「目の前のものをただ写生せよ」というみたいですが、よい言葉の貯えなしに、よい「写生」はできず、17文字で美を映すのは無理でしょう。豊かな言葉の裏付けを持つことは、人間の本質なのです。教養? まあそうかもしれません。いい音楽だって、おいしい料理だってそうですよね。

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おんころのたね・その5「不連続な生き方」

(2018/1/27の「おんころカフェ」より)

1.人生の「理由」
福祉系のNPOでボランティアをやっています。そこの理事長がぼやいていました。NPOを始めた理由を尋ねられて、困るのだそうです。大学では福祉系の学部に行った。卒業後、福祉施設の職員になった。だから、独立して福祉系のNPOを起こした。――そういうと、「なるほど」と言ってもらえる。だけど、自分ではその説明に納得していない。そんなに一直線の人生と思っていないのです。

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おんころのたね・その4「世界が滅びる前に」

(2017/12/23 の「おんころカフェ」より)

1.りんごの木を植える
突然ですが、明日世界が滅びるといわれたら、あなたは何をしますか。死ぬ前にさんざん好きなことをしてやろう。そう思わなくもないでしょう。ところが淡々と、ゆうゆうと、次のように語る人がいました。「明日世界が滅びるとしても、私は今日、私のりんごの苗木を植えるだろう」。

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おんころのたね・その3「生きることのマネジメント」

(2017/12/2の「おんころカフェ」より)

 

1.母の自立
母は一人住まいの時期が長くありました。お風呂に入るとき、転ばないように細心の注意を払います。周りがよかれと思って、介助の器具をいろいろと勧めます。なかなか母のおメガネにはかないません。あれもだめ、これもだめ…。

なじみのない器具の性能を頭で理解するのに、まず時間をかけます。次に使い勝手を確認したがります。自分の手足に、肌になじむかどうか。それがあることで、かえって浴室内の動作を妨げられないか。一つ一つチェックします。そのプロセスに付き合うこちらも、忍耐が要ります。

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おんころのたね・その2「花は誰のために咲く?」

(2017/10/28の「おんころカフェ」より)

 

1.無心
おんころのたね(種)で、「花が咲く」お話をする――面白い偶然です。

人の生き方を花にたとえるって、よくありますね。「花の命は短くて…」と人生を嘆いた女性の小説家もいました。

「花は誰のために咲く?」というのは、禅の言葉で、「百花為誰開」とも書かれます。人が花の気持ちになれるとして、花はたとえば、チョウやミツバチにみつを提供するために、咲いているんでしょうか。その美しさで人間の目を喜ばせるために、咲いているんでしょうか。 “おんころのたね・その2「花は誰のために咲く?」” の続きを読む